2024年度沢登り教室
初級程度の沢行きに安心、安全に同行できるために必要な知識と技術を学ぶ初級者コースと初級の沢を自身の力で安心、安全に遡行できる技術の習得を目指すステップアップコースがあります。
『沢登りはじめの一歩』 自立した沢屋として活動できる人材の育成を目指す沢登り専門の学校です
自然のもたらしたもっとも自然な道、それが渓谷、
自然と一体化する旅、それが沢登り
緑したたる山懐に深く切れ込むあくまでも清冽な水の流れ、このひんやりとした冷たい渓谷の水の流れの中に足を浸し、シャワーを浴びながら滝を登り、渕や釜をへつり、極端に狭まった薄暗い廊下を腰までの徒渉で通過したり、スノーブリッジを潜りぬけ、そして次は何が現れるかと、期待と不安に心躍らせる。美しいナメ滝やナメ床に感動し、広々とした河原に憩う。また、沢には、遡行の楽しみ以外にも多くの自然の恵みがいたるところにあります。渓谷には幻の魚といわれる岩魚が住み、春はウド、ワラビ、ミズナ、コゴミといった山菜、秋には、ナラタケ、なめこなどのきのこ類が豊富だ。夜は、遡行の合間に釣り上げた岩魚や、山菜、きのこが食膳をにぎわし、濡れた体を豪勢な焚き火で暖め、友と酒を酌み交わし、一日の遡行を語らい、振り返る。このように沢登りには、様々な変化を次々と見せる渓谷、まわりの自然を身体ごと味わい、享受し、登山のありとあらゆる技術を駆使して、自分たちの進むべきルートを自分たちで探し、道をつけていくという楽しみがあり、ハイキング、縦走、岩登りといった登山形態が失ってしまった自由があります。
沢登りは、自然の真っ只中に入り込み、大自然の中に身をゆだね、その中で自己満足的な充実感を見つけ出すものですので、山を知り、山の恐ろしさを十分にわきまえることが必要になります。山を総合的に知り、山と臨機応変に対応する力を要求されるのがまた沢登りです。
沢登りは、解説書を読んだだけで誰にでも出来るものではありませんが、しっかりとした指導者と山行を共にし、現場で指導を受けることによって、初心者でも十分に楽しめるものです。沢には、個々人の技量、体調によって困難さと安全が選択できる懐の広さがあります。遡行技術を身につけ、山裾から2泊、3泊かけて長大な渓谷を遡行できるようになったとき、また沢から沢へ、沢から頂へと、山谷を縦横無尽に歩き回れるようになったとき、山登りが何倍にも広がり、沢登りのほんとうの楽しさ、魅力を知ることが出来るようになります。
初級程度の沢行きに安心、安全に同行できるために必要な知識と技術を学ぶ初級者コースと初級の沢を自身の力で安心、安全に遡行できる技術の習得を目指すステップアップコースがあります。
1947年東京都生まれ。1981年社会人山岳会として逍遥渓稜会を創立し、2000年4月自立した沢ヤの養成を目指し、沢登りの技術を一から段階的に指導する沢登り専門学校として溪友塾を創立し、塾長に就任する。
著書に山と渓谷社「東京起点沢登りルート100」、「東京起点沢登りルート120」、共著に山と渓谷社登山技術全書「沢登り」、「奥多摩・大菩薩・高尾の谷123ルート」、「奥秩父・両神の谷100ルート」、ROOK&SNOWBOOK「沢登り」、白山書房「東京周辺の沢」など。また「日本の渓谷97」や山岳雑誌等に多数投稿。2006年朝日連峰の沢の集大成といえる「朝日連峰水源の沢」を自費出版する。また1998年7月号「岳人」誌上にて街マタギとして紹介される。
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私は、1966年、大学受験浪人の時代に親の目を盗んで登山を始め、以来、56年間、縦走、沢登り、冬山、山スキーと、一応オールラウンドな山登りを行って来ていますが、学生時代、一時岩魚釣りに凝り、北海道から東北、北陸、関東、上信越、中部、紀伊半島、四国といった渓谷の魚止めを目指して釣り歩き、ほとんどの渓谷を探り終えた後は、沢登りにのめり込み、以来43年間、遠くは北海道から東北(白神、和賀山塊、飯豊、朝日など)、北陸、上信越、関東、中部、紀伊半島といった数多くの渓谷を、沢登りのできる3月から11月のほとんどをその遡行に費やし、登った数は優に3,000本を超えます。特に、東北の沢、その中でも朝日連峰の沢へは、学生時代数多く入溪していたこともあり、また、大学の後輩を朝日連峰の三面川で亡くしたことなどから、朝日連峰の沢のすべてを遡行することを目標に掲げ、35年間で100本近くの沢を遡下降しています。
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溪友塾の沢登り教室では、沢登りの素晴らしさ、楽しさを味わってもらい、かつ安心して遡行できる技術を習得できるように、私の56年間の沢登りの遡行術のすべてを皆さんに感じ取ってもらえるよう、努力したいと思っております。
(記:2022年12月)