知られざる秘境の湿原

9/19-20 大深沢上流部を周遊する沢旅

 当初、2泊3日で伝左衛門沢を下降し、大深沢を遡行する計画だったが、台風の接近で初日は大雨の予報。仕方なく1日出発を遅らせ、16年前大深沢東ノ又沢で出会った釣り人から聞いて気になっていた天狗湿原を絡めた大深沢上流部を周遊する1泊2日の沢旅とする。ルートは八幡平樹海ラインの赤川~大深山荘~関東ノ沢左俣~天狗湿原~大深沢東ノ又沢~大深沢北ノ又沢~大深山荘~赤川の周遊コース。大深沢は学生の頃に五十曲のバス停から初めて入った50年以上前から何度もルートを変え入渓してきた慣れ親しんできた沢だ。伝左衛門沢との出合から関東ノ沢までは滝場は少ないが、水量が多く、気の抜けない遡行が続く。関東ノ沢との出合上流部は、滝場は出てくるが難しい登攀を強いられる滝はほとんどない。ただ東ノ又沢、北ノ又沢ともに詰め上げるルート取りには経験が必要だ。

八幡平樹海ラインから入渓する赤川は下部は小ゴーロの続く平凡な沢で、中流部の滝場には要所にロープが設置されている。橋から大深山荘までは1時間20分程だ。入渓点の橋のたもとには車3台程度の駐車スペースがある。

縦走路を関東ノ沢左俣へ向かって歩く。

関東ノ沢左俣が最も登山道に接するCo1190付近から笹やぶの中に入るとわずかで沢型が現れ、それを辿ると標高1135付近の左俣の本流に出る。

左俣源流部は明るく開けた平凡な沢だ。

関東ノ沢左俣は、右俣と比べ入渓する人はほとんどいないようだが、中流部はナメ床が続き、小滝も懸かるきれいな沢だ。

沢床は黒光りしたコケがびっしりと張り付き非常に滑りやすい。唯一懸垂した滝。

Co1040付近、天狗湿原に上がる支沢の出合の本流に懸かる滝。左岸から簡単に巻き下れる。ここからしばらく下降すると左岸の台地に釣師と思われる絶好のテント場跡がある。ここの岩魚は小さいものばかり、かなり釣り人が入る沢なのだろうか。

天狗湿原の一部。ここは夏場一面に湿原の花が咲き誇るといわれる。ただ熊の出没が多いということなので注意が必要だ。この湿原は北ノ又沢源流の北ノ又湿原とともに7月中旬以降、花園になるといわれる時期に訪れてみたいところだ。

天狗湿原から東ノ又沢に下る枝沢は、粘土質の沢床なので非常に滑りやすく注意が必要だ。

滑床とナメ滝の続く東ノ又沢を下降する。

北ノ又沢、東ノ又沢との出合。東ノ又沢から5分ほどで出合だ。

北ノ又沢は出合のナメ滝からしばらくはナメ床、ナメ滝が続く、非常にきれいな沢だ。

標高1035m付近の本流に多段の大滝となって右岸から落ちる枝沢の滝。地形図上ではとても水量が想像できないほどに多く、本流と変わらない。この出合の上の本流に大きな滝が懸かる。

本流に懸かる滝。丁度先行パーティが右側の壁を登っているところだったので、我々は左側を選択する。岩は滑りやすいが比較的階段上で登りやすい。北ノ又沢で唯一ロープを出した滝。

上の写真の滝の上に懸かる幅広のナメ滝。

幅広のナメ滝が続くが簡単に登れる滝ばかりだ。

沢幅一杯に広がるナメ床

ナメ滝とナメ床の間は平凡な沢床だ。

Co1250から1350の間の等高線が狭まったところはゴーロと小滝が続く。等高線が広がるCo1360付近から右岸の小沢に向け藪を漕ぐ。すぐに沢型に出るが、この沢は沢筋にボサが被るが沢床は明瞭。

明瞭な沢型も標高1415m付近で途切れ、左の笹やぶに入り、藪の薄いところを辿ると写真の小さな湿原と池塘のところに出る。あとはわずかの藪漕ぎで大深山荘手前Co1410m手前の登山道にピタリと出る。

我々の入った枝沢の北ノ又沢との出合は不明だが、おそらく等高線の込み合うCo1250m付近右岸の枝沢だと思われるが北ノ又沢の最後のルートファインデングは沢慣れていないと難しい。