湖底に沈む沢から古の古道へ

9/20-22 数年後に湖底に沈む沢から古の古道を歩く

 講習会で栃ヶ森(桑原)山塊の沢へ2泊3日で行く。計画は成瀬川北ノ俣沢桑木沢~小出川栃川下降~小出川~上東山の予定だったが、2日目の栃川下降に意外に時間がかかり小出川本流遡行を断念し栃川出合上から仙北街道を下山する。今回の目的は、2024年完成予定の成瀬ダムにより水没する秋田県側の桑木沢の遡行と古の古道、仙北街道の栃川沿いの道を歩き、栃ケ森山稜線上の山道の有無の確認だ。成瀬ダムが完成すると北ノ俣沢支流の桑木沢や唐松沢、合ノ俣沢、木賊沢の入渓ルートができなくなるのだが、沢登りとしては超マイナーな沢なので沢登りで入渓する人は稀だ。ただこの超マイナーな桑木沢に我々パーティを含む3パーティが同時期に入渓、それがいずれも知り合いの沢仲間という、沢屋といわれる人たちの志向が重なり合った超偶然という奇跡だ。

 古の古道、仙北街道は仙台藩と秋田藩を結ぶ山越への道で「仙北街道を考える会」の皆さんが整備していたが、現在は解散しているということを下山時にバス停前の御主人に伺う。ただ秋田県側は、今でも整備しているとのことだったが、岩手県側は奥州市で予算をつけてもらえず、ほとんど整備されていないだろうとのことだった。実際、小出川を境に栃川沿いの道はところどころ藪に覆われ、不明瞭なところが多かった。

   

入渓点の山道入口

国道から夢仙人大橋を渡る手前の工事中のトンネル脇に木賊沢へ下る山道を辿り、木賊沢を下るとすぐ合ノ俣沢の出合に出る。出合を下ると北ノ俣沢はすぐだ。

 

 

 

 

ダム工事が進み、湖底に沈むところの伐採が始まっており、変貌が著しい。

 

 

 

 

北ノ股沢との出合

夢仙人大橋が見える。

 

 

 

北ノ股沢は水量が多く、河原が広がり開けた沢だが、ところどころ沢幅が狭まりゴルジュ状のところがある。釣り人が多く入るので、巻き道がしっかりしている。

荒倉沢との出合の荒倉沢側は釣り人のテント場となっているようだ。

荒倉沢との出合先のゴルジュは、左岸に巻き道があるが、沢に戻るところが少しいやらしい。トラロープが張られている。

桑木沢と唐松沢との出合

桑木沢は、入口から両岸狭まったゴルジュだ。ただ水に浸かりながらも、泳ぐことなく遡行できる。

桑木沢下流部唯一の滝。左側から簡単に巻ける。

滝上から標高605m付近までは、川幅が広がり、穏やかな渓相が続く。泊りの場合は、上流部に良い泊り場はない。

605m右岸枝沢を越えて最初に現れるF2の滝。ここから上はゴルジュとなる。

ゴルジュ内の通過は厳しいが、右岸から巻ける。

上流部は河原がほとんどない。

2日目は、すぐにゴルジュに行く手を塞がれる。ここは右岸から小さく巻く。巻き終えたところの河原で東京の沢仲間と出合う。ここは、上流部で唯一泊り場となるところだ。

標高680mの二又は両門の滝となっている。下の写真は本谷左沢を上がったところから見た右沢。

左沢はナメとナメ滝が多くなる。

栃沢左俣の乗越付近から流れ下る沢との出合(標高745m)。

左の沢はヤブっぽくなるが問題なく栃沢左俣との乗越に出る。

栃川左俣を下降する。源頭部の藪はそれほどでもなく、間もなく沢型が出てくる。

栃川左俣は地形図どうり平坦な沢床が続く。

標高860m付近に懸かる2段の滝

標高700mから750mにかけてはナメとナメ滝が続く。

二俣からツナギ沢出合までの栃川はナメとナメ滝の続く非常にきれいなところだ。

ツナギ沢との出合。この付近に仙北街道があるのだが、非常にわかりにくい。

栃川沿いの仙北街道は狩り払いが行われておらず、非常に不明瞭な道となっている。

仙北街道が小出川本流を渡るところ。左岸側の台地によい泊り場がある。対岸の入口は少し上流だが、入口にピンクテープがある。

秋田県側の仙北街道はよく歩かれているようで、三角点のある標高1018mの柏峠からは狩り払いがされ、よく整備されている。

豊ケ沢林道終点。豊ケ沢林道の上部は四輪駆動の車でないと無理だ。歩くと国道迄1時間40分ほどかかるので、車を1台林道を行けるところまで行き、そこに車をデポしておけば歩く時間を短縮することができる。